今回は、こどもの集中力について書いてみようと思います。

みなさん、こんな言葉をよく耳にしませんか?

「もう終わった!」

「もう飽きた!」

子供たちが、絵を描いていたり、勉強をしていたり、何かをしている時、様々なシーンで口にするこれらの言葉。

親にとしては、子供に一つのことをじっくり時間をかけて行って欲しいと思うものです。

が、しかし、そんな気持ちはどこ吹く風と「もう終わった!」と笑顔で言う子供たち。

子供の集中力を以下の3つに分けて綴っていきます。

  1. 目標
  2. ご褒美
  3. お手本

目標

子供は大人と違って個々の物事についての経験が少なく浅いものです。 だから子供たちにとっては”目標”を立てるのが難しいのです。

絵や工作で例えると、描いた枚数や作った物の数が少なければ少ない程、自分が目指す”完成目標”が明確にイメージし難いものですよね。

”目標”は、できるだけ簡単な言葉で分かるまで説明します。

また、定期的に繰り返し説明をします。

大人の世界でも「3歳児に分かるように説明する」ようにできるだけ複雑で専門用語を使わない説明が好まれたりするのと同じです。

絵や工作の場合は、実際に先生が手を動かして描き・作って見せることが”説明”の大きな役割を果たします。

ただ僕の場合は、指導している子供たちの個性(色使いや物の捉え方)を引き出すためにも、その子の画風を真似てデモンストレーションをします。

そうすることで、子供たち自身が自分がこれから描く・作る作品を想像しやすくなるからです。

目標が見えてくれば、作業の継続時間も少しずつですが長くなります。

何事も”千里の道も一歩から”ですよね。

ご褒美

やはり人間は誰かに認められたいもの、子供だってそうです。大人もですよね!

自分の努力が誰かに伝わるからこそ、次も頑張れるのです。

単に何か物をあげることが、ここで意味する”ご褒美”ではなく、子供たちが”尊重されている実感”が、ここで意味する”ご褒美”です。

ここで、僕が用いている心理学をご紹介します。

オペラント・コンディショニング(Operant consitioning)というもので、”条件付け”で学習者の特定行動を変化させる目的で用います。

この条件付けで以下の2つを多用します。

1: ポジティブ・リインフォースメン(Positive Reinforcement)

 ※何かを加えて学習者の特定行動を変える。

2: ネガティブ・リインフォースメント(Negative Reinforcement)

 ※何かを取り除いたり、止めたり、変えたりすることで学習者の特定行動を変える。

ネガティブっていっても、何か罰を与えるという意味ではありませんよ。

具体的には以下のようなもの。

ポジティブ・リインフォースメント:

「褒める」

「お菓子やシール等のご褒美」

「自由時間を与える」

「やり直しの時間を与える」

「休憩時間を延長する」

ネガティブ・リインフォースメント:

「飽きている工程を飛ばす」

「別の工程や作業に変える」

「画材を変える」

「一時的に作業を止める」

日常生活でも「宿題やったらテレビ見ていいよ。」というのも、このオペラント・コンディショニングにあたります。

そして、このコンディショニングで変える”特定の行動”というのが”集中力の低下”であり、飽きることを回避しながら、集中力を伸ばしていきます。

お手本

これは、最初の「目標」にも通じる話しですが、明快なお手本があると子供たちは、そこに向かって進むことができます。

お習字もお手本がありましたよね。

アキヒロラボでは、授業の最初に参考作品をちょっとだけ見せます。

ただ、その参考作品は未完成で授業時間内に僕が手を入れ、なおかつ子供たちが完成するすこし前に完成させます。

そうすることで、子供たちが完成させるための作業を目撃できます。

作業が行き着くポイントが見えれば、その分作業ができ、作業時間も長くなります。

そして、子供たちが「もう終わった!」と言った時に「なぜまだやらないといけないのか。」「どうなれば終りなのか。」をしっかり説明してあげれば、納得して作業してくれることもあります。

まとめ

最初の話しに戻りますが、子供は経験を持っていません。

大人が容易くできることも、できなくて当たり前。

子供が抱えている課題を、口で言って分からなければ目から教えて、それでもだめなら、課題そのものを見直して、一緒に考える方がいいと思います。

また、子供は楽しいことに正直なので、楽しく取り組めることの方が良いように思います。